ひきこもりや不登校支援の「25年の知恵」から学ぶ~本『社会的ひきこもりと登校拒否・不登校』を読んで~
こんにちは!エコールカプリス塾長の白石です。
今回は、私が最近読んだ一冊の本『社会的ひきこもりと登校拒否・不登校-支援者のこころで25年-』(石井守 著)についてお話しします。この本には、ひきこもりや不登校に向き合う支援者としての姿勢や知恵が詰まっており、日々生徒たちと向き合う私にとっても大いに学びのある内容だった。
ひきこもりや不登校と向き合う支援のヒント
本書は、著者が25年間にわたる支援活動で得た経験をもとに、ひきこもりや不登校が抱える問題の背景や支援の実際を丁寧に描いてある。読んでいるうちに、「支援」という言葉に対する私自身の考え方を深めるきっかけにもなった。
特に印象に残ったのは以下の3つのポイントである。
- 社会全体で支える必要性
著者は、「ひきこもりや不登校は、本人や家族だけで解決できるものではない」と繰り返し述べている。家庭や学校だけでなく、地域や社会全体が協力して支える仕組みが必要だということである。
私たちの塾でも、ただ勉強を教えるだけでなく、生徒たちが「社会とのつながり」を感じられる場作りを意識している。たとえば、少人数制の授業や自由に相談できる時間を設けて、生徒が少しずつ人との関わりを広げられるようサポートしている。
- 支援者の「受け入れる姿勢」が鍵
本書で強調されているのが、支援者が「まず本人を受け入れる」という姿勢の大切さである。ひきこもりや不登校の当事者は、「自分がそのままで良い」と思える環境がなければ、次の一歩を踏み出すのが難しい。だからこそ、支援者側が押し付けるのではなく、相手のペースに合わせて寄り添うことが求められる。
私自身も、理系出身ということもあり、つい「解決策」を考えがちだった。しかし、この本を読んで「まずは話を聞くこと」が支援の第一歩だと改めて感じた。生徒やその保護者の声に耳を傾ける時間をもっと大切にしたいと思う。
- 小さな成功体験が未来を開く
この本には、実際に支援活動で起きた具体的な事例がいくつも紹介されている。それらの事例から伝わってくるのは、「小さな成功体験の積み重ね」が、当事者にとってどれほど大きな意味を持つかということである。
たとえば、最初は「外に出るのが怖い」と話していた若者が、少しずつ外に出る練習を重ね、やがて地域活動に参加するようになったというエピソード。そうした小さな一歩が、本人の自信や新たな可能性につながっていく様子が描かれている。
私たちの塾でも、生徒一人ひとりが「できた!」と感じられるよう、小さな目標を一緒に設定し、それをクリアする喜びを共有するようにしています。この取り組みが、彼らの未来につながる自信を育てるのだと改めて確信した。
私たちにできること
『社会的ひきこもりと登校拒否・不登校』を読んで、支援とは「急いで結果を出すこと」ではなく、「長い時間をかけて一緒に考えること」だと感じた。特に、不登校やひきこもりの生徒にとって、学びの場が「安心できる場所」であることが何よりも重要である。
塾という小さな場ではあるが、私たちも生徒が安心して自分を表現できる居場所でありたい。そして、学びを通じて自信をつけ、少しずつ新しい世界へとつながっていけるような環境を作り続けていきたいと思う。
この本をまだ読んでいない方は、ぜひ一度手に取ってみてほしい。ひきこもりや不登校に向き合うすべての方にとって、大きなヒントが得られる一冊だと思う。
それではまた、次回の記事で会いましょう!「アディオス!」
